こんにちは。1分トークコンサルタントの沖本るり子です。
何かとあわただしい時期を迎えると、仕事でもプライベートでも、限られた時間で、いつもより効率よく行動したいものですよね。
ところが、そんな忙しいときに限って、周囲の人に期待どおりに動いてもらえなかったり、それどころか、自分の手を煩わされてイライラが募るなんていうことも…
でも、ここは冷静に考えてみましょう。もしかしたら、上司や部下、家族が期待どおりに動いてくれないのは、あなたの伝え方に問題があるのかもしれません。
そこで今回は、相手が期待どおりに動いてくれない理由と、伝え方の工夫をご紹介します。
沖本るり子(おきもと るりこ)
株式会社CHEERFUL 代表。1分トークコンサルタント。「5分会議」で、人と組織を育てる専門家。江崎グリコなどを経て、聞き手が「内容をつかみやすい」「行動に移しやすい」伝え方を研究。現在、企業向けコンサルタントや研修講師を務めている。明治大学履修証明プログラムやリバティアカデミーでも登壇中。著書に『生産性アップ!短時間で成果が上がる「ミーティング」と「会議」』(明日香出版社)、『期待以上に人を動かす伝え方』(かんき出版)などがある。
相手が期待通りに動かない3つの理由
相手にこちらの期待どおりに動いてもらえない理由には、次の3つがあります。
1. 言いたいことを濁してしまう
2. 言葉の使い方に工夫が足りない
3. 相手の感情を意識していない
では、この3つについて確認してみましょう。
1. 言いたいことを濁してしまう
日本人は昔から“察してください”という文化がありますが、聞き手にさまざまな解釈の幅を与えてしまうものでもあります。
たとえば、あなたが職場でエアコンの暖房をつけてほしいとき、温度を高くしたいときに、ただ単に「寒いですね」と言ったらどうでしょう?
エアコンがある方向を眺めて、話は聞いていましたよというそぶりを見せる人もいれば、「寒いですね」と共感の言葉だけを返す人もいるでしょう。
「エアコンの暖房をつける、温度を高くしたい」という、こちらの期待どおりのリアクションをしてくれるかどうかは、相手次第となってしまうのです。
2. 言葉の使い方に工夫が足りない
謙虚さが美徳とされてきた日本人は、「お手すきの時に」という言い方をすることがあります。
たとえば、今やっている仕事を中断させてまでやることではないけれど、明日までにはやってもらいたい作業があった場合に、この言葉を使うとどうでしょう。
「手が空いたら、資料のファイリングをしておいてね」と言われた後輩は急ぎだとは思わず、手が空く翌週に取り掛かろうと思うかもしれません。
翌日、あなたは手の付けられていない資料の山を見てビックリするでしょう。
さらに、謙虚なつもりで「資料をファイリングしておいてもらえる?」と“質問形”で依頼した場合、相手が動いてくれる確率は50%になります。するかしないかは、相手の気持ちに委ねられているからです。
「もし、よかったら資料のファイリングをしておいてもらえる?」などという言い方では、いつまでたっても整理されません。
謙虚な言葉は、相手の脳には言葉の意味そのままで受け止められる可能性が高いのです。
3. 相手の感情を意識していない
多くの人は、かなり“自分中心”に依頼をしています。
たとえば、こんな感じです。
「いつも、資料を探すのに時間がかかってイライラするから、わかりやすいようにしておいて」
ところが、こう言われた相手はどう思うでしょうか。
「自分でやれよ。気になる人が片づければいいじゃないか」と、口に出さなくても心の中でつぶやくでしょう。
自分の不満を理由にして依頼すると、たとえその内容が間違っていなかったとしても、相手はカチンときてしまったり、自分が動く意義を見出せなかったりします。
もし、それが仕事上で強制力がある場合は動かざるを得ないでしょうが、言われたこと以上にやる気にはなれません。
相手が期待以上に動いてくれる3つの工夫
それでは、相手に期待以上に動いてもらうためには、どのように伝えればよいのでしょうか?
それは、相手の気持ちをマイナスにさせないこと。伝え方の工夫は、次の3つです。
1. 動きの一文を明確にする
2. 期限を明確にする
3. 相手の感情をプラスにする
1. 動きの一文を明確にする
まずは、「相手にどうしてほしいか」という動きの一文を最初に伝えましょう。
職場が寒くてエアコンをつけてほしいなら、それをはっきりと言葉にするのです。
「エアコンをつけてください」
こうすれば、「何が言いたいのかわからない」と相手をイラッとさせることはありません。
2. 期限を明確にする
特に忙しい時期は、締め切りのあるものを優先し、期限のないものは後まわしにしてしまうのは当然です。
依頼する際は、必ず月日だけではなく、時間まではっきりと指定しましょう。
「明日の朝11時30分までに、資料をファイリングしておいてね」
3. 相手の感情をプラスにする
人が期待以上に動くのは、自分にとってメリットがあると感じたときや、嬉しかったり、楽しかったり、気持ちがプラスになるときです。
そこで、依頼する際には、行動すると相手にとってどんなメリットがあるのかを伝えることが有効です。
「〇日の〇時までに、資料のファイリングをお願いします。整理してもらえれば、△△の仕事をお手伝いします」と、見返りを提示。
「ファイリングをしてもらえれば、今後、ファイルを探す時間が大幅に短縮するので、あなたの仕事もぐっと捗ると思います」と、お互いのメリットを提示。
このように、その行動をすることによって相手が受けるメリットを見える化、もしくは提示するように、伝え方を工夫しましょう。
周囲の人々が気持ちよく動いてくれれば、誰もが不要なストレスを溜めることもなく、仕事も効率的に片付きます。忙しいときこそ“伝え方”に気を配るよう心がけましょう。
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